まずは、以下の文章を読んでみてください。
『最近、人との会話で聞き返すことが増え、テレビの音量も大きくなっていると家族に指摘されることが多くなりました。そこで、そろそろ補聴器を検討しようと思い立ち、近所のお店で聴力測定を受けた後、実際に補聴器を試してみました。すると、驚くほどよく聞こえるようになったので、そのまま購入を決めました。』
何の問題もないように感じるかもしれませんが、じつは補聴器を購入する前に大切なステップが抜けています。
補聴器はメガネとは違い「管理医療機器」に分類されているため、自己判断で補聴器を購入するのではなく、あらかじめ耳鼻咽喉科で耳の状態や聞こえを診てもらうことが推奨されています。
管理医療機器は、薬機法第2条第6項で「副作用や機能障害が生じた場合、人の生命や健康に影響を与えるおそれがあるもの」と定義されています。※薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性、安全性確保に関する法律)
補聴器販売店協会では、補聴器を安全にご使用いただくために「禁忌8項目」を定めていますが、一般の方々にはあまり知られておらず、該当する項目に気づかず補聴器を購入し、その後、耳の状態が悪化してしまうケースも少なくありません。
補聴器センターアイでは、初めて来店されるお客様に対して、禁忌8項目の確認を行い、耳鼻咽喉科への受診もお勧めしています。
以下は、補聴器センターアイも加盟している、一般社団法人 日本補聴器販売店協会と、特定非営利活動法人 日本補聴器技能者協会が定めた「禁忌8項目」です。ご自身で確認できる項目もありますが、耳鼻咽喉科や補聴器販売店でなければ確認できない項目もあります。
<禁忌8項目>
● 耳の手術を受けたことがある。
● 最近 3 ヶ月以内に耳漏があった。
● 最近 2 ヶ月以内に聴力が低下した。
● 最近 1 ヶ月以内に急に耳鳴りが大きくなった。
● 外耳道に痛みまたは、かゆみがある。
● 耳あかが多くたまっている。
● 聴力測定の結果、平均聴力の左右差が 25dB 以上ある。
● 聴力測定の結果、500、1,000、2,000Hz の聴力に 20dB 以上の気骨導差がある。
その他確認事項
・補聴器の公的支援や助成制度について説明を希望される方はお申し出ください。
・販売店では、医療機関で行うような診察や検査および診断は行えません。
・販売店では、補聴器適合のために観察や測定を行います。
・心臓の病気・脳梗塞・血栓症などの治療で薬を内服している場合は、出血し易くなっていないか、耳の奥の皮膚をこすっても心配ないか医師に相談してください。
・販売店では、耳鳴りの診断や治療はできません。補聴器相談医の指示がなければ耳鳴りの治療を目的とした補聴器の販売はいたしません。
・販売店では、認知症の診断や治療はできません。認知症の予防、治療を目的とした補聴器の販売はできません。
・販売店では、耳の手術を受けたことがある方の耳型採型はできません。
一般社団法人日本補聴器販売店協会
特定非営利活動法人日本補聴器技能者協会
制定:平成 8 年 5 月
改定:平成 29 年 12 月
[参考文献・引用元]
一般社団法人日本補聴器販売店協会、特定非営利活動法人日本補聴器技能者協会