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聞こえの基礎知識

補聴器を使用する前に知っておきたい!聞こえの基礎知識について

[公開日] 2020.6.1

[更新日] 2024.10.13

「耳」といえば外見から見える部分(正式には耳介と呼びます)を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、外耳から脳に至るまでの聴覚機能全体を見渡すと、外見から見える部分は、聴覚機能のほんの一部にすぎない事がよく分かります。

聞こえの仕組み
耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つに大別されます。①耳介で集められた音は、②外耳道から③鼓膜に伝わり機械的な振動に変わります。鼓膜の振動は、中耳の④耳小骨と呼ばれる小さな骨の連なりを動かし、内耳の⑤蝸牛にある有毛細胞を刺激させ電気信号へと変換されます。そして、電気信号は⑥聴神経を伝わり言葉や音楽などとして脳で認識されます。

外耳(outer ear)

外耳には、耳介や外耳道があります。耳介には音を集める集音効果があることは比較的よく知られていますが、一端を鼓膜で塞がれた外耳道(耳あな)にも外耳道共鳴と呼ばれる共鳴効果があります。空き瓶に水を入れて息を吹きかけると笛のように「ボー」という音がするのが外耳道共鳴によく似ていますが、もちろん耳から音が出ているわけではありません。

 

外耳道は、成人で約2.5〜3cmの長さがあり、一端が閉じた管として機能するため外耳道共鳴が起こります。この共鳴により、成人の耳では、2000Hz~3000Hz付近にピークを持った共鳴が生じ、2700Hz付近で約15dBが増幅されます。ちなみに乳幼児の耳では成人よりも高い周波数に外耳道共鳴が現れます。

 

外耳では、この共鳴効果によって、高い周波数が増幅され鼓膜に音を伝え、会話や日常の音がよりクリアに聞こえるようになっています。

あまり知られていない耳垢そうじのおはなし 

意外と知られていませんが、耳垢は外耳道の自浄作用により自然に外部に排出されます。また、耳垢には細菌などから外耳道を守るための役割もあるため、基本的に耳垢掃除は不要と言われています。しかし、習慣的に耳垢掃除をしないと気が済まないという方も多いはず。

どうしても耳垢掃除をしたい!という方は、綿棒や柔らかいタオルなどを使って外耳道の入り口付近の耳垢だけをそっと取り除くようにして下さい。

もっと奥まで綿棒を押し込まないと物足りないと思う方がいるかもしれませんが、無理に奥まで掃除をしようとすると、耳垢をさらに奥に押し込んでしまったり、外耳道や鼓膜を傷つける可能性があり大変危険です。 

ご自分で耳垢掃除をするのが不安という方は、耳鼻科で耳垢掃除をしてもらうのがいいと思います。耳垢掃除くらいで耳鼻科を受診するのは気が引ける...と思うかもしれませんが、耳垢除去は保険診療でも認められている立派な医療行為なので、たかが耳垢と思わず、とくに耳にかゆみや痛み、聞こえにくさを感じたら早めに耳鼻科を受診しましょう!

中耳(middle ear)

中耳には、鼓膜・耳小骨・耳管などがあります。

中耳の入り口には、非常に薄い膜である鼓膜があります。健康な鼓膜は薄い灰色や淡いピンク色をしており、耳鏡で観察すると光が反射する部分が見られます。

耳小骨は、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨という3つの小さな骨で構成されています。これら3つの骨が連動して音を内耳に伝える仕組みを耳小骨連鎖と呼びます。この連鎖により、音はさらに増幅されます。ちなみにアブミ骨は体の中で最も小さな骨と言われています。

 

少し難しい話になりますが、耳小骨連鎖には、音を増幅する2つの重要なメカニズムがあります。

  • テコ比:ツチ骨とキヌタ骨の間にてこの原理が働いており、これによって音の振動が約1.31倍に増幅されます。この増幅は約2dBに相当します。

 

  • 面積比:鼓膜の面積とアブミ骨の足板部分の面積の比率は約17倍で、これにより音のエネルギーが約25.5dB増幅されます。

 

これら2つの増幅効果を合わせると、音は中耳で合計約27.5dBまで増幅され、内耳に伝わります。

 

ここで重要なのは、なぜ中耳で音を増幅する必要があるのか?という点です。じつは、音を直接外耳から内耳に伝えると、内耳のリンパ液が音の約99.9%を反射してしまいます。これは、空気とリンパ液との間に大きなインピーダンス(音の伝わりやすさの差)があるためです。音波は空気中から液体中に伝わる際、そのエネルギーの約0.1%しかリンパ液に伝わらず、約99.9%が反射されてしまいます。

 

0.1%(1/1000)は、音圧レベルとして約30dBの減少に相当します。つまり、もし中耳がなければ、外耳から内耳に直接伝わる音は、約30dBも減少してしまいます。

 

そのため、中耳の耳小骨連鎖を介して音を増幅し、音の伝わりにくさを補うことで、音エネルギーの損失を最小限に抑え、効率よく内耳に音を伝えることができます。

 

耳が「ツーン」とするのは何故? 

高い山に登ったり飛行機に乗った時に耳が塞がったように感じることがあるのは、耳管の圧力調整機能が上手く働かないことが原因と言われています。

耳管は鼓室(中耳腔)から鼻の奥(咽頭)をつなぐ管です。唾を飲み込むなどの嚥下(えんげ)運動を行うと耳管が開閉して鼓室内の圧力調整ができる仕組みになっています。

一時的な耳閉感は、唾を飲み込んだり鼻をつまんで耳抜きをする事で解消されますが、加齢などにより耳管機能が低下すると、平常時でも耳が塞がれたような違和感や自分の声に違和感を感じる場合があります。

内耳(inner ear)

内耳は、三半規管・前庭・蝸牛(かぎゅう)などで構成されています。

中耳で機械的なエネルギーとして増幅された音の振動は、卵円窓(前庭窓)を通して内耳に入ります。内耳の蝸牛は、音の振動を電気信号に変換する精密な器官です。

蝸牛の中には、前庭階・中央階(蝸牛管)・鼓室階があり、これら3つの層はそれぞれリンパ液で満たされています。

中央階(蝸牛管)の下壁には、基底板と呼ばれる膜があり、その上には音を感じるために重要な有毛細胞と呼ばれる感覚細胞があるコルチ器や有毛細胞に刺激を与える蓋膜(がいまく)などがあります。

有毛細胞には、約12,000個の外有毛細胞と約3,500個の内有毛細胞が存在します。音の振動は、基底板とその上にある蓋膜の間を通って伝わり、有毛細胞がこれに反応します。外有毛細胞は音の微細な振動を増幅し、内有毛細胞はその振動を電気信号に変換して、らせん神経節を経由し脳へと信号を送ります。

有毛細胞はピアノの鍵盤のように蝸牛全体に規則正しく配列されており、蝸牛の入口では高い音に反応し、頂点側では低い音に反応する仕組みになっています。加齢性難聴では、蝸牛の入口に近い有毛細胞から損傷するため、高い周波数から徐々に難聴が進行するとされています。

また、ライスネル膜は蝸牛管と前庭階を分け、振動を適切に調整しています。さらに、血管条は蝸牛内の液体や電気的バランスを管理しています。

 

内耳のもう一つの重要な役割は、平衡感覚(バランス)です。

三半規管は、頭の動きをキャッチする高性能なセンサーです。3つの異なる半規管(前半規管・後半規管・側半規管)で構成され、それぞれが頭の回転や傾きを感知します。管の中にはリンパ液が満たされており、頭を動かすとその液体も一緒に動いて、私たちの体がどのように動いているのかを感じ取ります。

前庭は、重力や加速度を感知する場所です。たとえばエレベーターに乗っているときに感じる浮遊感や、体が傾いているときに感じる感覚は、この前庭によるものです。耳石と呼ばれる小さな結晶がこの部分にあり、重力や加速度によって動くことで、私たちが自分の姿勢や動きをしっかりと把握できるようになっています。

 

内耳の蝸牛(かぎゅう)の構造

蝸牛の断面図とコルチ器の拡大図

耳鳴りは脳の興奮が原因 

耳鳴りに悩まされている方は意外と多く、世界人口の約15~20%の人に症状が現れるとされています。また、年齢とともに聴力が低下すると耳鳴りが発生しやすくなり、65歳以上では30%以上の方が耳鳴りの症状に悩まされていると言われています。

そもそも耳鳴りはなぜ起こるのでしょうか?

耳鳴りが発生するメカニズムについては、まだ完全には解明されていないそうですが、最近の医学的研究では、難聴に伴う耳鳴りは「脳が興奮している」ことが原因だと言われています。

どういう事かというと、難聴になり耳から伝わってくるはずの音の信号が脳に届かなくなると、脳は音を聞き取ろうとして感度を上げて興奮状態になり、耳鳴りを発生させるという仕組みです。

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